野党再編が動き出すのか、それとも政治資金目当ての「12月政党」(大半は霧消)に終わるのか。

みんなの党渡辺喜美代表=所属国会議員35人)がついに分裂。江田憲司前幹事長ら衆参両院の14議員が離党し、すでに離党している柿沢未途衆院議員も加わり、近く15人で新党を結成するという。

江田氏は野党勢力の結集に積極的で、民主党細野豪志前幹事長、日本維新の会松野頼久・国会議員団幹事長らと超党派の勉強会「既得権益を打破する会」の設立総会も開いた。同会には民主、維新、みんな離党組など計85人が入会したとしている(総会には約50人が出席)。江田氏は新党について「必要なら発展的解消も辞さない」と表明し、来年に第2段階として新党と維新を解消して合流。第3段階で民主の一部を取り込んだ大規模な野党再編を目指す構想を明らかにしている。

だが、もうひとつ分かりづらい。政党にせよ、政界再編にせよ、理念・政策が問われるが、そこがはっきりしないからだ。江田氏は新党を「政界再編政党」と位置付けているが、その再編の政策軸が曖昧だ。江田氏がまとめた綱領案によれば、「政治は社会的弱者のためにある」との理念を打ち出しているが、これではリベラルそのものだ。また脱官僚や脱中央集権、脱しがらみ・既得権益なども上げているが、「脱」だけでは政党たりえない。とりわけ国家観や安保観が皆無に等しい。何よりもみんなの党で掲げていた憲法改正が消えている。リベラル勢力の結集なら政権交代可能政党とは言い難い。江田新党はじっくり観察する必要がある。