日本の技術が助けた北の核・ミサイル

☆世界を騒がせる北朝鮮の核とミサイル

 災害は忘れた頃にやって来るというのは、科学者の寺田寅彦が残した有名な言葉である。
しかし、これは災害とは違うが(同じようなものだが)、北朝鮮の核とミサイルは、忘れ
た頃にやって来る。多分、世界から忘れ去られることを恐れてやっている作戦かも知れない。
しかし、本当はそんな呑気なことは言ってはおれない。何故なら、北朝鮮の核とミサイルは、
日本の安全保障問題にとって死活的に重要な脅威であるからだ。
 例えば、核弾頭を搭載した北のミサイルが、日本海沿岸にある柏崎原発に打ち込まれたと
したら、日本は完全にパニックに陥ることは火を見るより明らかである。それは、東電福島
の原子炉災害の比ではなかろう。北朝鮮という国は、そういうこともやりかねない狂気の
集団であるからだ。そうなれば、もちろん米国からの核の報復を受けて、北は壊滅するだろ
うが、日本の被害は甚大なものとなろう。ところで、このような北の核とミサイルは、どの
ようにして開発されたものなのだろうか?彼等が独自的に開発したものだろうか?最近では
そういう面もあることは事実である。しかし、初期において、いや今日も引き続きといおうか、
北朝鮮の核とミサイルの開発を助けたのは、実に日本であり、また日本人科学者たちであった。

その実態を解明するためにはまず、北朝鮮が独立した当時、科学技術の基盤は全く何もなか
った。そこで彼等が選んだ方策は、外国から科学技術を導入することであり、そのためソ連
(当時)や東欧、中国等の社会主義国に留学生を送り、また技術指導を仰いだ。
しかし、北朝鮮にとって最も欲する技術を手に入れられる国は日本であった。そしてそのため
に作られた組織が、在日本朝鮮人科学技術協会、以後略して科協と称する。
科協は、1959 年に設立された朝鮮総連の下部組織である。

☆北の核・ミサイル開発の中心勢力

 科協は、朝鮮労働党諜報機関である。党統一戦線部より直接指示を受け、北朝鮮
国家科学院と協力し、核・ミサイル等の兵器開発に必要な機械類、化学製品の購入等を
行っていると指摘されている。北の核・ミサイル開発における科協の重要性は以下の
事例から明確に理解されよう。
 1999 年3 月、北朝鮮の首都平壌の人民文化宮殿において、二日間に亘って開かれた
「全国科学者技術者大会」で、この7 年ぶりの大会には、北朝鮮の科学技術者達や
各省庁の責任者、党中央幹部達に交じって日本からの科協代表団の姿が見られた。
 初日には洪成南首相が党中央委員会の祝賀文を読み上げ、次に崔泰福書記が主に
北朝鮮が前年度に達成した「輝かしき成果」についての報告文を朗々と読み上げた。
(朝鮮新報99 年4 月2 日記事)崔泰福書記は、実際はこう述べたのである。
「100%我々の力、我々の技術で初めて人工衛星光明星1 号》を成功裡に発射した
のは、最新科学技術発展で成し遂げられた最も誇らしく、貴重な成果である。
在日本朝鮮人科学者、技術者達は社会主義祖国の富強発展と祖国統一のために愛国的
な活動を活発に展開し、主体朝鮮の公民である栄誉を胸深く刻み、祖国の科学技術者
たちと経済建設に大きく寄与した。」2012 年12 月、日本を始め、全世界を震撼させた
テポドン北朝鮮光明星3 号2 号機)の打ち上げを成功させたのは、北朝鮮独自の
技術ではなく、在日朝鮮人科学者の「愛国的な活動」こそが成功の鍵であったと
北朝鮮の責任者自身が明言しているのである。

北の科学技術発展、特に核とミサイル開発に寄与した日本の研究機関が二つある。
第一は東京大学生産技術研究所であり、第二は理科学研究所である。この二つは、
日本を代表する政府系の研究機関であり、決して意図的に北の核とミサイル開発に
貢献した訳ではない。いや、北朝鮮にうまく利用されたのである。
 しかし、この二つの機関は、核とミサイル開発に関する高い技術を保有しており、
北は意図的にここを狙っていたものと考えられる。東大生研は東大の付属研究所で
あるが、所員1,219 人、大学院生729 人、その他の研究生35 人等で、大型研究機関
であり、年間予算151億円である。その研究領域は膨大であり、あらゆる科学の
最先端をカバーしている。特に重要なのは、糸川博士がここでロケット開発を始めた
日本の宇宙開発のメッカであったことだ。

 この生産研にはかつて北朝鮮の学生研究生が20名以上も在籍していたこともあった。
その中でも筆頭が徐錫洪氏(日本名:住友清太郎)である。
彼は生産研で工学博士号を取得した。彼は80 年代にアメリカ動力機械学会賞を
受賞したこともある2 サイクルエンジンの世界的権威であるとされる。現在は
ロケットエンジン専門家でもある。

彼は、北朝鮮の元山に本社工場がある北朝鮮との合弁企業「金剛原動機合弁会社
の社長である。
テポドンのロケットモーターもここで開発されている可能性が高い。そして何よりも
疑わしいのは、1998年8 月31 日のテポドン発射実験の前後に、新潟より当時の
万景峰号で何度も往復していたことである。例の光明星一号発射前にも万景峰号
北朝鮮に行っていたことも警察公安が確認している。

これを見れば、北のミサイルも殆どが日本の技術で開発されたことは明白であり、
知らぬは日本政府と国民だけである。

☆恐ろしい北の核も日本発の技術

 東大生研と並ぶ、もう一つの研究機関は、例の小保方問題で揺れた「理研」である。
理研が、北の核開発を支援していたという訳では決してない。
しかし、理研は、第二次大戦中に「原爆」の開発を試みたが、成功を見ぬ前に敗戦
になった経緯があった。もちろん、戦後は平和的研究に徹しているが、ここも北の
工作の対象になっていたようだ。
今は廃刊になった月刊誌『諸君!』90 年5 月号所載の麻生総一郎の「ニッポンが
支える北朝鮮原発計画」によると、「例えば科協会長の李時求氏は、日本の原子
物理学の権威の下で学び、原子力開発にも精通している。」と記している。
また、この日本の原子物理学の権威について、同氏は「86年には宇宙工学の権威である
糸川英夫氏を、また87年には原子物理学の権威で、日本学術会議議長(当時)の
伏見康治阪大名誉教授を、科協会長の仲介で北朝鮮に招聘している。」とし、
「伏見康治博士と言えば、『アジア・太平洋の平和・軍縮・共生国際会議』や反核運動
など、いわゆる左派市民運動で有名だ。戦時中に日本が行った原爆研究には陸軍系と
海軍系の流れがあったが、ウラン濃縮研究の中心人物に伏見康治氏がいた。」と語り、
「科協の重鎮である李時求氏が日本の原爆開発の流れを汲む原子力科学者と北朝鮮
結び付けたとすると、「自主・民主・公開」の原則は、左翼のイデオロギーに利用され
易く、その反戦平和的スタンスに北の工作機関が狙いを定め、北朝鮮にも招聘され、
結局彼の原子力に関する知識は、北の原爆開発を支援することになった。彼の門下生は
北朝鮮系の研究生が多く輩出し、北の核開発に大きく寄与している。しかし伏見自身は
それを意に介することなく、北のためにも良いことをしたと見ているに違いない。
これが日本の学者の甘い所であり、やがては日本を破滅させるかも知れないパンドラの
箱を開けてしまったのである。

☆やがて日本破滅の禍根になる

 先に紹介した科協こそが、北の核とミサイル開発の源泉なのである。科協は在日朝鮮人
科学者、技術者、教育者、研究生を網羅する組織で、会員数は数千人に達し、全国を8つ
の地域に分けて支部を設立。また運営に当たっては、8 つの専門委員会を設け、日本に
ある全ての最先端科学を網羅している。この科協の目的は、唯一、祖国北朝鮮の発展に
寄与し、貢献することに命運をかけていることである。日本にとっては誠に恐ろしい
国家なのである。
特に核とミサイルの開発には科協の存在は必須なのである。それはあたかも、北朝鮮
いうヤマタのオロチが日本の科学技術というおいしい密を吸い取るストローのようなもの
である。
彼等はストローの先を日本という国に差し込み、他方を北朝鮮の独裁者が吸い込んでいる
構図である。甘い密を吸われている日本は全く警戒心も自覚も全くない。これこそが
危険極まりない原因なのだ。それを支援しているのが、反日左翼である。
学問の自由の名の下に中国・韓国・北朝鮮の学生を無制限に引き受けるのは、国を破壊
する最大の原因である。
最近の反原発運動のせいで、日本人の学生は殆ど原子力関係の学科には進まないが、
ここぞとばかりに原子力関係学科には中国人と韓国人学生が押し寄せていると聞く。
 
ところで、科協の仕事は核とミサイル関係の科学技術者を養成するだけでなく、
日本の膨大な科学技術文献を収集し、本国に送ることである。朝鮮新報2001 年6 月号
に「賑わう愛国閲覧室」なる記事によると、「1982 年人民大学習堂のオープンに際し、
在日北朝鮮人科学技術者協会が中心となって、数十万部の書籍を寄贈した。現在まで
寄贈されたのは数学・物理学・生物学を始めとした基礎科学と電力・金属機械・電子
を始めとした各種専門書と雑誌類、50 万部に上る。
 
以前は人民大学習堂が所蔵する他の書籍に交じって、分野別に収められていたが、
88 年に「愛国図書閲覧室」が新たに設けられ、海外同胞が寄贈した書籍が一ヶ所
に集められた」(新報01 年6月11 日号 )科協の仕事は図書や文献の収集を寄贈
するだけではない、その裏の顔として朝鮮労働党軍需工業担当機関である
「第二経済委員会」からの指示を受け、戦略物資調達を果たさねばならない。
「我々が社会主義祖国の富強発展のため、特色ある寄与をするためには、経済大国
を誇り、科学技術の発展水準の高い日本で生活し、事業して
いるという立地条件をあまねく利用し、在日朝鮮科学者、技術者でなければできない
ことをずば抜けてせねばならない。」(1995 年学術報告)これは恐らく最高指導者
からの指示であろうと思われる。

 前出の徐錫洪氏が無許可で経営していた、川崎市の「大宝産業」が神奈川県警に
労働者派遣法違反容疑で逮捕されたのも、この指示を実行しようとして失敗したもの
と思われる。
日本にはスパイ防止法もなく、先端技術がザルで水をすくうが如くにダダ漏れである。
科協には「科学に国境はないが、科学者には国境がある」というのがスローガン
らしいが、何を意味するか良く分からない。

要するに必要な科学技術を日本からできるだけ多く奪い取り、祖国の発展のために
使おうとでもいうことではないか?問題なのは、日本があまりにも無知で平和ボケ
しているのでこういうことが起こるのである。日本人の税金で開発した先端技術や
企業が開発した先端技術等が北朝鮮に流れ何十年という年月を経て、やがて核や
ミサイルとなって日本に襲い掛かろうとしている。
日本が早く事の危うさに気付かなければ日本だけでなく、世界を破滅へと追い込む
ことになろう。